なぜトラックドライバーの賃金は上がらないのか?
皆さん、こんにちは。
通販事業の隆盛による需要の増加に対して、供給側には中型免許の新設などマイナスな要因が多く、ひどい人手不足に陥っていると言われているトラック業界ですが、実際には、なかなか賃金が上がらず、労働環境は決して良くなっていないという現状があるようです。
このことについて、説明する記事が2016年6月号p81にありましたので、その理由の部分を抜粋してみます。
記事のライターが指摘する理由としては、「実際には需要は逼迫していない、すなわち人手不足ではない」というものでした。そして、その原因となる要素を以下のようにあげられていました。
① 消費税8%への増税前の駆け込み需要が発生した13年度下期にドライバー不足が顕在化し、仕事ができない運送会社も出た。
そこで、
② 運送会社は、その需要にこたえるために新規ドライバーの雇用を増やす努力をするとともに、定年などの理由で退職したドライバーを以前より高い賃金で再雇用しようとした。
すると、
③ 好条件に引かれて再びドライバーとして働こうという人がそこそこ集まり、ドライバー数は回復した。
しかし、
④ 消費税8%への増税により景気が悪化し、需要が減退したため、ドライバー余りが生じたが、そう簡単にはクビを切れない運送会社は雇用を継続した。
その結果、
⑤ ドライバーの賃金は上がらない。
非常に、分かりやすい論理の流れだと思いました。
その上で、記事は次のように結んでいます。
「おそらくこうしたドライバー需給のゆるみは一時的な現象であろう。なぜなら、再雇用したドライバーを未来永劫雇用し続けることはできないからだ(年をとるから)。当面、荷動きの盛り上がりは期待できないものの、数年先にはドライバーをやめる人数が再び増加するとみられるため、需給は引き締まることになろう。それまではドライバーの賃金上昇率は緩やかなまま推移するのではないだろうか。」
なかなか、厳しい現実だと思います。