ヤマト値上げ、中小が歓迎 運転手不足の打開期待
皆さん、こんにちは。3月7日の日本経済新聞 電子版に次のような記事が掲載されていました。
宅配便最大手のヤマト運輸が宅配便の基本料金を27年ぶりに引き上げる方針を固めた。人手不足に悩んでいるのはヤマト運輸だけではない。トラック運送会社の99%を占める従業員300人以下の中小企業も同じ悩みを抱える。ヤマト運輸の決断が運賃全体の底上げにつながれば、運転手の待遇を改善しやすくなり、採用にもプラスに働く可能性がある。
「値上げ交渉するうえでの大きな材料となりうる」。東京都江戸川区に本社を置く運送会社のアート・プラの横田浩崇社長はヤマト運輸の値上げ姿勢を高く評価する。
運転手を中心に約30人の従業員がいる同社でも人手不足は深刻だ。インターネット通販の普及で仕事が急増し、「社員は今の倍の数ほしい」(横田社長)。荷主企業が運賃引き上げを受け入れれば、従業員の給与を上げて採用する際のPR材料にする考えだ。
石山運送(東京・足立)の石山謙二専務は「運送業界には仕事がきついという印象があり、若い人が来ない。50代前半でも若手だ」と嘆く。ヤマト運輸の値上げがきっかけとなって業界全体の労働環境が改善すれば「若い人が運送業界に来てくれるようになる可能性が高まる」(石山専務)
実はトラック運賃は高値傾向が続いている。荷主企業がスポット(随時使用)契約で10トン車1台分の荷物を運んでもらう貸し切り運賃だと、東京―大阪間は現在、片道輸送1回で7万~8万円。輸送需要が落ちる2月でも安値での成約がしにくい状態だった。昨年末の繁忙期は15万円を超える運賃もみられた。
もっともネット通販など一部の業界を除くと、個人消費停滞などで荷動きは盛り上がりを欠く。競合が多い近距離や小型車の運賃は「下限にはりつき、なかなか上がらない」(東京の運送会社)といった指摘もある。東京都貨物運送協同組合(東京・文京)の金宮正成事務局長は「中小の運送会社は立場が弱く、値上げに踏み切れない企業もある」と語る。
求荷・求車サイト運営のトラボックス(東京・渋谷)の吉岡泰一郎社長は「最大手のヤマト運輸でも苦しい状況にあることが伝わった」と指摘する。「配送は無料ではできない」という認識を荷主企業だけでなく、消費者にも定着させることが人手不足解消の糸口となる。
中小企業の運送屋さんは荷主さんに値上げを要求することは非常に困難です。
値上げを交渉しようものなら運送屋を変えられてしまう可能性があり、安い運賃でも仕事がないよりマシということで仕事を続けている状況です。
私の周りの運送屋さんも同じような状況で、実際は人も足りず仕事によっては全く利益の出ないような仕事でも受けざるを得ないものもあるそうです。
しかし、今回のヤマト運輸さんの運賃値上げによって、中小企業の運送屋さんは私達一般人や荷主の方達にも物流業界の現状を知ってもらう良い機会になったのではないでしょうか。全ての荷主が運送屋さんの値上げに応じてくれるとは思いませんが、今後、荷主と交渉をしていく上での良い材料になったのではないかと思います。
私は、仕事を与える側ともらう側で立場に差があってはいけないと思います。
お互いに必要とされるモノを供給しあっているのですから全くのイーブンではないかと。今の運送業界を見ていると、とてもイーブンの関係と言えるものではありません。
今回のヤマト運輸さんが運賃の値上げに踏み切ったことが、今後の運送業界にとって重要な第一歩になることを期待しています。
最低でも適正な対価が支払われるべき業界になるように。