アマゾン、独自の配送網 個人事業者1万人囲い込み
皆さん、こんにちは。6月22日の日経新聞に次のような記事が掲載されていました。
「インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が独自の配送網の構築に乗り出すことが分かった。注文当日に商品を届ける「当日配送サービス」を専門に手がける個人運送事業者を2020年までに首都圏で1万人確保する。ヤマト運輸が撤退する方向のため、代替策を模索していた。大手運送会社の下請けとして繁忙期に業務が集中しがちな個人事業者の活用が通年で進み、運転手不足の緩和につながる可能性がある。
アマゾンは国内で年間約3億個の荷物を発送しているとみられる。国内宅配便取扱数の1割弱を占める計算だ。アマゾンが個人事業者の活用を本格化することで、大手運送会社に偏っていたネット通販の配送業務の平準化が進みそうだ。
最大の需要地である東京都心部では、東京証券取引所1部上場で、ネットスーパーなどの配達「桃太郎便」を手がける丸和運輸機関が個人運送業者を組織化。配送の業務委託により、アマゾンの当日配送サービスを担う。東京23区内の一部でアマゾンから受託した配送業務を始めた。
丸和運輸機関は労働時間の管理を厳しくしながら安定した仕事量と売り上げを保証して、個人事業者を囲い込む。寮や燃料割引、研修制度も用意する。必要に応じて、都心でも走りやすい軽貨物自動車を貸し出し、新規参入も促す。
丸和は既に軽貨物車を数百台用意。まず17年度中に東京都心部をカバーするため1000台まで増やし、運転手も1000人規模の確保を目指す。20年度までに軽貨物車1万台、運転手1万人体制に拡充し、当日配送の受託地域を首都圏の主要都市に拡大。配送拠点も増やし、総投資額は100億円を超える見込み。丸和は自社で負担する。
厚生労働省によると、トラック運転手を含む「貨物自動車運転手」の有効求人倍率は16年度で2.01倍。職業別の全体平均の1.25倍を大きく上回り、人手不足が続く。重労働の割に低賃金であることが理由だ。
個人事業者が多くを占める軽貨物自動車での運送事業は、国への届け出制で1台から営業でき、16年3月時点の事業者数は15万4842社。仕事の多くが中堅・大手の運送会社からの下請け業務だが、年末などの繁忙期に集中しがちだった。
アマゾンは全国に10以上の配送拠点を持ち、離島を除く全国の都市部などで当日配送を提供してきた。配送はヤマトや日本郵便などが担ってきたが、最大の委託先であるヤマトが撤退を視野に取り扱いを縮小。時間帯指定配送でもアマゾンは都内など一部で「正午~午後2時」の取りやめを余儀なくされている。
ネット通販ではヤマトへの依存度が高い企業を中心に配送時間の変更が相次ぐ。ネット通販大手のアスクルは20日から配送時間の指定をヤマトの変更に合わせた。衣料品通販「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥディも同様の対応を取った。
アスクルは個人向けネット通販サービスで自社配送を大幅に増やす方針とするなど、配送網の維持を模索している。」
今回の記事を読むと、今までのネット通販業界のヤマトへの依存度が非常に高いことがわかりました。
私自身、あまり当日配送のサービスを使ったことがないせいか、当日配送自体の必要性を感じないのですが、この記事を読む限り、世の中の当日配送の需要は相当あるようですね(笑)
アマゾンさんが本格的に個人事業者の活用をすることによって新たな需要が生まれ、運送業界の活性化に繋がれば非常に喜ばしいことではあります。
しかし、ヤマト運輸との間で起きたような問題がここでも起きないという保証はありません。
上記でも述べられていますが、当然サービスの質の低下が起きないように「労働時間の管理を厳しくしながら安定した仕事量と売り上げを保証して、個人事業者を囲い込む。寮や燃料割引、研修制度も用意する。必要に応じて、都心でも走りやすい軽貨物自動車を貸し出し、新規参入も促す。」としていますが、ドライバーへの待遇を良くすれば、コストが上がるし、待遇を下げればサービスの質が下がります。
当たり前のようなことですが、そこのバランスが非常に重要になってくると思います。
また、今後のネット通販業界と物流業界の関係性が非常に楽しみですね。
この二つの業界は切っても切れない関係性で結ばれていますので、両者共にウィンウィンの関係性であり続けてほしいものです。